2026年春季関東大会準決勝、横浜-山梨学院。
結果は、
横浜 4-2 山梨学院。
横浜が2回に2点を先制。
山梨学院が4回に1点を返しましたが、横浜は5回、6回に1点ずつ追加し、4-1。
山梨学院も8回に1点を返しましたが、最後は池田聖摩投手が9回を三者凡退に抑えました。
この試合の面白いところは、
準々決勝では両校とも「逆転する力」を見せて勝ち上がってきたのに、準決勝では横浜が一度もリードを許さなかったこと
です。
横浜は健大高崎戦で9回に逆転。
山梨学院は専大松戸戦で6点差をひっくり返しました。
ところが直接対戦では、横浜が先に試合を動かし、そのリードを最後まで維持しました。
なぜ山梨学院の大きな再アンロックが起きなかったのか。
そして横浜は、なぜ山梨学院を最後まで逆転可能な状態には残しながらも、試合を渡さなかったのか。
そこを中心に振り返ります。
- 大会前評価では山梨学院が上だった
- 横浜は大会の中で評価を上げ続けていた
- 山梨学院も想定とは違う強さを見せていた
- 実際の試合結果
- 1回、横浜は先制機を作ったが得点できなかった
- 2回、横浜が2点を先制
- 山梨学院は3回まで完全に止められた
- 4回、山梨学院が初めて横浜の守備を崩した
- 2-1。ここでは山梨学院が十分に試合へ戻っていた
- 5回、横浜がすぐに3-1と広げた
- 6回、横浜がさらに4-1
- 小野舜友選手が3安打2打点
- 山梨学院は6回にも得点機を作った
- 小林鉄三郎投手は6回2安打1失点
- 7回から織田翔希投手へ
- 8回、山梨学院がもう一度4-2まで戻した
- ただし2点を取るのに、攻撃を二度必要とした
- 9回、池田聖摩投手がわずか4球で締めた
- 横浜は3投手で山梨学院を4安打2失点
- 山梨学院・渡部瑛太投手も8回を投げ切った
- 横浜はBig Inningを作らずに4点取った
- 山梨学院の6点差逆転をどう止めたのか
- 専大松戸戦では再ロックできなかった
- 現在のかなマネInsightから振り返ると
- この試合から見えたこと
大会前評価では山梨学院が上だった
横浜:大会前A評価・ベスト8予想
山梨学院:大会前S評価・ベスト4予想
準決勝単独の事前スコア予想は確認できないため、大会前評価と準々決勝までの実戦内容をもとに振り返ります。
大会前の横浜はA評価。
春の神奈川大会5試合で、
- 平均得点6.60
- 平均失点2.40
- Big Inning頻度0.80
- 大量失点回頻度0.20
- 接戦勝ち2
- 完封勝ち2
という内容でした。
かなマネでは「バランス型」と整理していました。
一方の山梨学院はS評価。
- 平均得点8.00
- 平均失点0.33
- Big Inning頻度1.33
- 大量失点回0
- 完封勝ち2
という数字。
「抑制型」として、大会前には横浜より上の位置に置いていました。
ただし、この準決勝までに両校の見え方はかなり変わっています。
横浜は大会の中で評価を上げ続けていた
横浜の初戦は国士舘戦。
9-1の7回コールド勝ちでした。
9安打で9得点。
投手陣は国士舘を1安打1得点に抑えています。
そして準々決勝の健大高崎戦。
大会前の優勝予想だった健大高崎を4-3で破りました。
しかも9回表に2点を奪って逆転。
9回裏は池田聖摩投手が三者凡退。
大会前にはベスト8予想だった横浜でしたが、
関東大会に入ってからの2試合で、評価を上方修正する材料をかなり出していました。
山梨学院も想定とは違う強さを見せていた
山梨学院も初戦の水城戦では10-3。
7回コールドで勝利しました。
準々決勝の専大松戸戦はさらに特徴的です。
6回終了時点で2-8。
6点差を追う状況から7回に8得点。
一気に10-8と逆転しました。
最終的には11-10。
大会前は平均失点0.33の「抑制型」として評価していましたが、
準々決勝では守備が崩れても攻撃で試合を作り直せること
を見せました。
つまり準決勝は、
接戦から逆転した横浜と、6点差から逆転した山梨学院
の対戦でもありました。
実際の試合結果
横浜 4-2 山梨学院
横浜が9安打4得点。山梨学院を4安打2得点に抑え、決勝進出。
| 学校 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 山梨学院 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 |
| 横浜 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | X | 4 |
横浜は2回に2点を先制。
山梨学院は4回に1点を返します。
しかし横浜は5回に1点。
6回にも1点。
4-1まで広げました。
山梨学院は8回に1点を返して4-2。
それでも9回は横浜が三者凡退で締めました。
1回、横浜は先制機を作ったが得点できなかった
横浜は1回裏。
先頭の小野舜友選手が一塁内野安打。
小林大雅選手が送りバント。
池田聖摩選手の一ゴロで走者が三塁へ進みます。
2死三塁。
さらに安食琥太郎選手が四球。
2死一、三塁まで攻めました。
しかし川上慧選手が遊ゴロ。
無得点です。
横浜は初回から走者を進めていましたが、まだ得点変換まではできませんでした。
2回、横浜が2点を先制
試合が動いたのは2回裏です。
田島陽翔選手が二塁内野安打で出塁。
脇山魁音選手が送りバント。
1死二塁。
ここで江坂佳史選手が中前適時打。
横浜が1-0と先制しました。
その後、走者は盗塁死となりましたが、2死から千島大翼選手が右前安打。
続く小野舜友選手が右翼へ適時二塁打。
2-0。
このイニングは、
一度走者を失って攻撃が切れかけても、もう一度出塁して得点を作り直した
ことがポイントです。
山梨学院は3回まで完全に止められた
横浜の先発は小林鉄三郎投手。
1回。
三者凡退。
2回。
三者凡退。
3回。
三者凡退。
最初の9人をすべてアウトにしました。
しかも3回までに5奪三振。
準々決勝で15安打11得点を記録した山梨学院打線に対して、最初の3イニングは一人も走者を出していません。
横浜がこの試合の主導権を取れた大きな理由です。
4回、山梨学院が初めて横浜の守備を崩した
4回表。
山梨学院は1死から島田達矢選手が四球。
石井陽昇選手がヒットエンドランで中前安打。
1死一、三塁となります。
そして髙橋輝選手が中犠飛。
2-1。
この攻撃は山梨学院らしい形です。
四球で走者を出す。
ヒットエンドランで一気に一、三塁。
犠牲フライで得点。
1本の長打ではなく、
走者を動かしながら得点までつなげています。
2-1。ここでは山梨学院が十分に試合へ戻っていた
4回表に山梨学院が1点を返して2-1。
まだ1点差です。
準々決勝で6点差をひっくり返した山梨学院からすれば、十分に逆転できる距離でした。
横浜としても、
この1点差のまま終盤へ入ると、山梨学院の再アンロック力をもう一度受ける可能性がある
状況です。
そのため、この後の横浜の追加点がかなり重要になります。
5回、横浜がすぐに3-1と広げた
5回裏。
小野舜友選手が四球で出塁。
続く小林大雅選手の送りバントで、山梨学院に守備のミスが出ます。
1死一、二塁。
ここで池田聖摩選手が左前適時打。
3-1。
山梨学院が4回に2-1まで追い上げた直後。
横浜が次の攻撃で1点を取り返しました。
この1点は試合構造上かなり大きいと思います。
山梨学院が一度試合を開こうとした直後に、横浜がもう一度2点差へ戻した。
現在のかなマネInsightでいう再ロックに近い場面です。
6回、横浜がさらに4-1
横浜は6回にも追加点を奪います。
田島陽翔選手が初球からバントヒット。
脇山魁音選手が送りバント。
江坂佳史選手が死球。
2死一、三塁となり、小野舜友選手が中前適時打。
4-1。
5回に1点。
6回にも1点。
横浜は一度に大量得点していません。
しかし、
山梨学院が追いつく前に、少しずつ試合距離を広げていました。
小野舜友選手が3安打2打点
この試合の横浜打線で特に大きかったのが小野舜友選手です。
3打数3安打。
2打点。
さらに四球も1つ。
1回は先頭で内野安打。
2回は2死から適時二塁打。
5回は四球で追加点の走者。
6回には適時打。
得点そのものにも、得点のきっかけにも何度も関わりました。
横浜がBig Inningを作らなくても4点を積み上げられた理由の一つです。
山梨学院は6回にも得点機を作った
6回表。
山梨学院は藤田蒼海選手が右前安打。
金子舜選手が送りバント。
1死二塁。
反撃のチャンスでした。
しかし島田達矢選手の遊ゴロで二塁走者が三塁でアウト。
続く石井陽昇選手も遊ゴロ。
無得点に終わります。
準々決勝では走者を大量得点につなげた山梨学院でしたが、
この日は得点機を連続得点へ広げることができませんでした。
小林鉄三郎投手は6回2安打1失点
横浜先発の小林鉄三郎投手は、
- 6回
- 65球
- 被安打2
- 奪三振5
- 四球1
- 1失点
でした。
しかも65球。
非常に少ない球数で6回まで進んでいます。
準々決勝で11点を取った山梨学院に対して、
走者そのものをほとんど出さず、攻撃が連続する時間を作らせませんでした。
7回から織田翔希投手へ
横浜は7回から織田翔希投手へ継投します。
小林投手はまだ65球。
完投を狙える球数でもありました。
それでも横浜は投手を変更しました。
織田投手は7回を三者凡退。
山梨学院の4番から始まる打順を、
髙橋輝選手を三振。
光永惺音選手を中飛。
菅原歩夢選手を三ゴロ。
きれいに抑えています。
先発が悪くなってから替えるのではなく、優位な状態のまま次の投手へ役割を渡した。
この継投は横浜の投手役割可変性を見るうえで重要です。
8回、山梨学院がもう一度4-2まで戻した
8回表。
山梨学院は住友輝人選手が中前安打。
代打・久保奏太選手の投ゴロで走者が二塁へ進みます。
藤田蒼海選手も左前安打。
1死一、三塁。
金子舜選手が左犠飛。
4-2。
山梨学院が再び2点差へ戻しました。
ここでも長打ではなく、
安打 → 進塁 → 安打 → 犠牲フライ
という形です。
山梨学院は完全に攻撃を封じられていたわけではありません。
少ない走者を得点へ変える力は残っていました。
ただし2点を取るのに、攻撃を二度必要とした
山梨学院はこの試合で2得点。
4回に1点。
8回に1点。
一度の攻撃で複数得点できませんでした。
準々決勝では7回に8点。
一つのイニングで試合全体をひっくり返しました。
横浜戦ではその形を作らせてもらえません。
横浜は山梨学院の得点を「1点ずつ」に分断した
と見ることができます。
9回、池田聖摩投手がわずか4球で締めた
9回表。
横浜は再び投手を変更します。
遊撃を守っていた池田聖摩選手がマウンドへ。
石井陽昇選手を初球で二ゴロ。
髙橋輝選手を2球目で二直。
光永惺音選手を初球で一飛。
わずか4球。
三者凡退で試合を終えました。
準々決勝の健大高崎戦でも、池田投手は9回裏を三者凡退に抑えています。
そして準決勝でも最終回を三者凡退。
横浜にとって、
終盤に池田投手へ役割を変えて試合を閉じる形
が大会の中で再現されています。
横浜は3投手で山梨学院を4安打2失点
横浜投手陣は、
小林鉄三郎投手。
織田翔希投手。
池田聖摩投手。
の3人。
合計で、
- 9回
- 89球
- 被安打4
- 奪三振6
- 四球1
- 2失点
でした。
山梨学院は前戦で15安打11得点。
その打線を4安打2得点に抑えています。
特に89球で9イニングを終えている点も特徴的です。
山梨学院に粘られながら球数を増やされるのではなく、
早いカウントでアウトを重ね、攻撃時間そのものを短くしました。
山梨学院・渡部瑛太投手も8回を投げ切った
山梨学院の先発は渡部瑛太投手。
8回を一人で投げ切りました。
- 126球
- 被安打9
- 奪三振4
- 四球2
- 死球1
- 4失点
横浜に毎回大量得点されたわけではありません。
2回2点。
5回1点。
6回1点。
それ以外は無失点です。
つまり渡部投手も、
大崩れせずに試合距離を維持していました。
ただ横浜は、その4点を別々の時間帯で積み上げました。
横浜はBig Inningを作らずに4点取った
横浜の得点は、
2回に2点。
5回に1点。
6回に1点。
最大でも1イニング2点です。
初戦の国士舘戦では4回に4得点。
準々決勝の健大高崎戦では9回に2点を奪って逆転。
そして準決勝では、
少ない得点を複数イニングに分けて積み上げる勝ち方
をしました。
大会前の「バランス型」という分類が、この試合ではかなり分かりやすく出ています。
山梨学院の6点差逆転をどう止めたのか
準々決勝の山梨学院は専大松戸に2-8。
それでも7回に8得点して逆転しました。
そのため横浜戦でも、
「少しくらいのリードでは安全ではない」
と考える必要があります。
実際、横浜は4回に2-1まで迫られました。
しかし5回に3-1。
6回に4-1。
8回に4-2とされても、9回は池田投手が三者凡退。
山梨学院が反撃した次の時間帯に、横浜が必ず何かしらの形で試合を止めています。
これが専大松戸戦との大きな違いでした。
専大松戸戦では再ロックできなかった
山梨学院が8得点した準々決勝では、専大松戸が継投を重ねても攻撃を止められませんでした。
投手を替えても山梨学院が得点。
さらに替えても得点。
最後は一つのイニングで8点を奪われました。
横浜は違います。
小林投手が6回まで1失点。
7回から織田投手。
8回に1点を失っても、9回は池田投手。
役割を変えるたびに、山梨学院の攻撃をもう一度止め直しました。
この差はかなり大きかったと思います。
現在のかなマネInsightから振り返ると
① 大会前の大会構造では山梨学院が上だった
大会前評価は山梨学院S、横浜A。
勝ち上がり予想も山梨学院ベスト4、横浜ベスト8。
大会前の位置だけを見れば、山梨学院を上に置く材料がありました。
② ただし大会中の横浜は大きく上方修正する必要があった
国士舘に9-1。
健大高崎に4-3。
大量得点で勝つ試合と、1点差を逆転する試合の両方を経験していました。
大会前のA評価以上に、勝ち方の幅が見えていたと考えられます。
③ 横浜は試合距離を常に自分側へ置いた
2回に2-0。
4回に2-1。
5回に3-1。
6回に4-1。
8回に4-2。
山梨学院に追いつかれる前に、横浜がもう一度距離を作っています。
④ 山梨学院の再アンロックを1点ずつに分断した
山梨学院は4回に1点。
8回に1点。
準々決勝のような大量得点回を作れませんでした。
横浜は走者が出ても、そこから攻撃を連結させませんでした。
⑤ 横浜の再ロックが複数回機能した
山梨学院が2-1にした後、横浜は5回に追加点。
さらに6回にも追加点。
8回に4-2とされても、9回は池田投手が三者凡退。
一度止めるだけではなく、何度も試合を固定し直しています。
⑥ 投手役割可変性が非常に強く出た
小林鉄三郎投手が6回。
織田翔希投手が2回。
池田聖摩投手が1回。
しかも小林投手は65球で交代しています。
「限界まで投げてもらう」のではなく、
試合の状態に合わせて次の役割へ移す
という継投でした。
⑦ 横浜は得点変換力も高かった
横浜は9安打4得点。
犠打4。
安打だけでなく、送りバントや相手失策を使いながら得点しています。
一方の山梨学院は4安打2得点。
少ない走者を2得点には変えましたが、複数得点回を作れませんでした。
なお、これらは当時から現在と同じ用語で評価していたわけではありません。
現在のかなマネInsightから改めてこの試合を振り返ったときに、そう整理できるという意味です。
この試合から見えたこと
横浜-山梨学院は、
大会前の評価だけで見ると山梨学院が上だった対戦を、横浜が4-2で制した試合
です。
ただし横浜は、この準決勝までにすでに評価を変える材料を出していました。
国士舘戦では9-1。
健大高崎戦では9回逆転で4-3。
そして山梨学院戦では、
2回に先制。
追い上げられた後に追加点。
さらに継投で試合を閉じました。
一方の山梨学院は、専大松戸戦で見せた6点差からの大逆転を再現できませんでした。
それは単に「この日は打てなかった」だけではなく、
横浜が山梨学院の攻撃を連続させなかった
ことも大きかったと思います。
この試合から見えるのは、
- 大会前評価を大会中の実戦で更新すること
- 逆転できるチームに対して、反撃直後の次の1点が重要なこと
- 大量得点回を作らせないこと自体が守備の価値になること
- 先発を限界まで引っ張る以外にも、優位な状態で継投する選択肢があること
- 投手を替えるたびに相手を止め直せるかを見ること
- Big Inningがなくても複数イニングで得点を積み上げられるかを見ること
の重要性です。
特に横浜は、この大会を通して勝ち方が変化しています。
国士舘戦では大差勝ち。
健大高崎戦では終盤逆転。
山梨学院戦では先行して少しずつ追加点を重ね、継投で逃げ切り。
一つの勝ち方に依存せず、相手と試合状況に応じて別の形で勝てる。
現在のかなマネInsightでいう「代替構造」を考えるうえでも、横浜の評価を大きく見直すべき試合だったと思います。