市ケ尾高校の勝利の要因を考えてみました

夏神奈川大会2026

予想を外して見えた、チーム全体で勝ち取る力

市ケ尾が第2シードの相洋を6-5で破り、3回戦進出を決めました。

かなマネ予想では、相洋優勢で見ていました。相洋が中盤以降に試合を戻し、5点から6点前後まで取る展開を本線にしていました。

実際、相洋は5点を取っています。市ケ尾の大塚遼投手を相手に11安打を放ち、4回、5回、8回、9回と得点を重ねました。相洋の反撃力や、最後まで試合を切らさない力は、予想の大枠から大きく外れていなかったと思います。

大きく見誤ったのは、市ケ尾の得点力でした。

春の内容や1回戦の関東学院六浦戦を見ても、市ケ尾は接戦に持ち込めるチームだとは見ていました。ただ、相洋相手に5点、6点まで取り切る展開は強く置けていませんでした。相洋の投手力と守備力を考えると、市ケ尾の得点は2点前後まで抑えられると見ていました。

しかし実際には、市ケ尾が13安打で6得点。ここが、この試合で一番大きなポイントだったと思います。

市ケ尾の守備|最後の一線で踏みとどまった

市ケ尾の守備は、相洋打線をきれいに封じ込めたというより、勝負どころで踏みとどまった守備でした。

相洋は11安打を放ち、最後まで市ケ尾を追い詰めました。4回、5回に3点を返して同点。8回にも追いつき、9回裏も1点差に迫りました。

それでも、市ケ尾は最後の一線を越えさせませんでした。

大きかったのは1回裏です。相洋は先頭の渡辺優里斗選手が三塁打を放ち、いきなり無死三塁を作りました。ここで先制されていれば、試合の入りはかなり変わっていたはずです。しかし大塚投手が後続を断ち、無失点で切り抜けました。

4回、5回は苦しい時間帯でした。相洋に追いつかれ、流れが向こうへ傾きかけました。それでも逆転までは許さない。9回裏も満塁まで攻められながら、最後は踏ん張りました。

相洋を完全に止めたわけではありません。けれど、相洋が試合をひっくり返しに来た場面で、市ケ尾はぎりぎり踏みとどまりました。

市ケ尾の攻撃|相洋守備に圧をかけた6得点

この試合で一番大きかったのは、市ケ尾が相洋から6点を取ったことです。

2回表、市ケ尾は二死から黒井快都選手の二塁打、溝口隆太選手の安打、中川泰洋選手の四球で満塁を作り、1番の北本悠真選手が右前へ2点適時打を放ちました。二死を取った後に、下位打線から上位へつながれる形は、守る側にとってかなり嫌な失点だったと思います。

3回には、清岡悠選手が出塁し、平野遥大選手が送り、村山史比古選手が返しました。派手な得点ではありませんが、相洋相手に3-0と先行できた意味は大きかったです。

ただ、市ケ尾の攻撃で本当に評価したいのは、先に点を取ったことだけではありません。追いつかれた後に、もう一度取り返したことです。

3-3に追いつかれた後の7回、市ケ尾は無死満塁を作り、平野選手の適時打で勝ち越しました。さらに8回に4-4とされた後の9回表、先頭の大塚選手が相手失策で出塁し、清岡選手が送り、平野選手の内野安打と村山選手の打球で再び勝ち越しました。恩賀龍之介選手の二ゴロで追加点を取ったことも大きかったです。結果的に9回裏に相洋が1点を返しているので、この2点目が勝敗を分けました。きわどいタイミングでしたが、結果はセーフで積極的走塁が活きた形になりました。

相洋に失策はありました。けれど、市ケ尾はただ相手のミスを待っていたわけではありません。走者を置き、送り、打球を前へ飛ばし、守備側に判断を迫りました。追い込まれても簡単に終わらず、打球を作り続けたことが、相洋守備への圧になっていたと思います。

1・2回戦を通じて光った監督采配

市ケ尾は、選手の力だけで勝ち上がったわけではありません。1回戦からの試合運びも見事でした。

関東学院六浦戦では、序盤に3点を失いながら、結果的に大塚投手を使わず、継投で勝ち切りました。序盤の失点後、黒川瑛太投手、山田想二郎投手、中山優太朗投手とつなぎ、3回以降は相手に得点を許しませんでした。0-3から5-3へ。エースを使わずに逆転勝ちできたことが、相洋戦につながったと思います。

一方、相洋戦では判断が逆でした。

大塚投手は4回、5回に苦しみ、8回、9回にも失点しました。市ケ尾には中山投手という選択肢もありました。それでも菅澤悠監督は、最後まで大塚投手に託しました。

初戦は無理にエースを使わない。相洋戦は、苦しくてもエースに任せる。この使い分けが、市ケ尾の勝ち上がりを支えました。

細かい場面では、4回の犠打の場面で攻撃のタイムを取ったところも印象に残ります。大きな場面ではありませんが、送りバントを確実に決めたい場面で一度間を取り、打者を落ち着かせました。こうした細部にも、ベンチが試合を整えようとする意図が見えました。

市ケ尾は勢いだけで相洋に向かっていたわけではありません。投手起用でも、攻撃の間の取り方でも、ベンチが試合を整えていました。

大塚投手だけではない、全員で勝ち取った勝利

大塚投手の156球の熱投は、この試合の大きな柱でした。1回裏の無死三塁を無失点で切り、最後の満塁のピンチも踏ん張りました。強敵相洋を相手に投げ切った経験は、本人にとっても大きな自信になるはずです。

ただ、この勝利を大塚投手だけで語るのはもったいないです。

相洋が5点を取る展開自体は、予想の大枠から大きく外れていませんでした。本当に想定を超えたのは、市ケ尾が6点を取り切ったことでした。

守備は最後の一線で踏みとどまり、攻撃は追いつかれてももう一度取り返しました。ベンチは1回戦から投手起用を整理し、相洋戦ではエースに託しました。

市ケ尾は、大塚投手の熱投だけで相洋を破ったのではありません。

打線が相洋から6点を取り、守備が最後に踏みとどまり、ベンチが2試合を通して試合を整えました。

これは、大塚投手ひとりの勝利ではなく、市ケ尾というチーム全体で勝ち取った勝利だったと思います。

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