市ケ尾―川和 観戦ガイド②|川和投手陣の「初球」から、市ケ尾の攻め方を考える

夏神奈川大会2026

1.はじめに

市ケ尾―川和の観戦ガイド①では、市ケ尾の先発を大塚と想定し、川和がどのように攻めてくるのかを考えました。

今回は反対側から、川和の投手陣に対して、市ケ尾がどのように攻撃を組み立てるのかを見ていきます。

川和は、3回戦の武相戦と4回戦の横浜商大戦で、

森田から片岸、最後に森本

という継投を続けました。

ただ、一球ごとの結果を整理すると、同じ投手でも武相戦と横浜商大戦では、ストライク系の割合にかなり差がありました。

特に片岸は、武相戦ではストライク系率60.7%だったのに対し、3日後の横浜商大戦では75.0%まで上がっています。

この違いは、単純な被安打数だけでは説明できません。

誰が投げているかだけでなく、

その投手が初球からストライクを取れているか。
ボール先行の打席が続いているか。

市ケ尾が当日の投球をどれだけ早く見抜き、攻撃方法を変えられるかが、この試合の大きな観戦ポイントになりそうです。

今回も勝敗を断定するものではなく、試合を見る際の一つの観戦ガイドとして整理します。

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2.川和投手陣の特徴


川和は、2回戦の横須賀総合戦では片岸が先発しました。

接戦となった3回戦の武相戦では森田が先発し、片岸、森本へ継投。

続く4回戦の横浜商大戦でも、同じ順番でつないでいます。

武相戦では、森田が3回2/3を投げて4失点。片岸が4回を2失点、森本が2回1/3を無失点に抑えました。

横浜商大戦では、森田が4回2/3を3失点。片岸が3回2/3、森本が2/3回を無失点でつないでいます。

ここからは、一球速報をもとにかなマネが整理した参考値を使いながら、両試合の違いを見ていきます。

なお、ここでの「ストライク系」には、見逃し、空振り、ファウル、打球になった投球を含めています。

武相戦では、ボール先行に苦しんだ


先に行われた武相戦では、川和投手陣のストライク系率は次のようになりました。

森田
ストライク系率:53.6%
ボール系率:46.4%
初球ストライク系率:31.6%

片岸
ストライク系率:60.7%
ボール系率:39.3%
初球ストライク系率:50.0%

森本
ストライク系率:61.3%
ボール系率:38.7%

武相打線は、この試合で10安打、8四死球を記録しながら、三振はゼロでした。

ボール球は見送り、ストライクは打球にする。

川和投手陣にとっては、ストライクを取りにいけば打たれ、厳しいコースを狙えばボールになるという難しい試合だったと考えられます。

森田は2回に連打を受けて4失点。

4回には連続四球で走者をため、二死を取ったところで片岸へ交代しました。

片岸も4四死球を与え、8回には死球を含めて満塁を背負っています。

川和は走者を出しながらも、大量失点を防ぎ、最後は森本が無失点で締めました。

横浜商大戦では、初球からストライク先行


その3日後の横浜商大戦では、森田と片岸の数字が変わりました。

森田
ストライク系率:64.0%
ボール系率:36.0%
初球ストライク系率:50.0%

片岸
ストライク系率:75.0%
ボール系率:25.0%
初球ストライク系率:86.7%

森本
ストライク系率:100.0%
ボール系率:0.0%

森本は4球だけなので参考程度ですが、森田と片岸は、武相戦より明確にストライク系率を上げています。

特に片岸は、対戦した15人のうち13人に初球ストライク系の球を投げました。

武相戦では4四死球だったのに対し、横浜商大戦では四死球ゼロ。

初球から有利なカウントを作り、3回2/3を無失点でつないでいます。

ただし、これを投手側の修正だけで説明することはできません。

武相は10安打、8四死球、三振ゼロ。

横浜商大は7安打、2四死球、6三振でした。

相手打線の見極め方や、ストライクへの反応も違います。

それでも結果として、川和投手陣は武相戦より横浜商大戦の方が初球からストライク系の球を増やし、四死球を減らしていました。

武相戦で苦しんだ部分を、横浜商大戦では修正できていたようにも見えます。

被安打数だけでは状態を判断できない

片岸は、武相戦で4安打、横浜商大戦で3安打を許しています。

被安打数に大きな差はありません。

それでも、投球内容はかなり違いました。

武相戦の片岸
被安打:4
四死球:4
ストライク系率:60.7%
初球ストライク系率:50.0%

横浜商大戦の片岸
被安打:3
四死球:0
ストライク系率:75.0%
初球ストライク系率:86.7%

安打になった球も、今回の集計ではストライク系に含まれます。

そのため、被安打が増えたからストライク系率が下がるとは限りません。

片岸の状態を見るうえでは、安打を打たれたかよりも、

初球をストライクにできているか。
ボール先行の打席が続いていないか。

を見る方が、試合中の状態を早く判断できそうです。

森田|走者を背負った後の投球を見る


森田は、川和が接戦で先発を任せている投手です。

ただ、相手打線をほとんど出塁させないタイプではありません。

武相戦では6安打、3四死球。

横浜商大戦でも4安打、2四死球を許しました。

注目したいのは、安打を打たれた直後や、走者を背負った後です。

そこで再びストライクゾーンへ投げられるのか。

それとも失点や長打を警戒し、ボール先行になるのか。

川和は、森田が完全に崩れるまで待つというより、守備のリズムが悪くなった段階で片岸へ交代しています。

そのため、市ケ尾が森田から走者を出した場合は、川和が継投に動く前に、もう一人つなげられるかがポイントになります。

片岸|武相戦型か、横浜商大戦型か


片岸は、先発もロングリリーフもできる投手です。

接戦では森田の後を受け、試合の流れを整える役割を担っています。

ただし、武相戦と横浜商大戦では投球内容に大きな違いがありました。

武相戦型であれば、初球ボールが増え、四死球から走者をためる余地があります。

横浜商大戦型であれば、初球からストライクを取り、四死球を与えずにテンポよく進めます。

片岸が登板したら、まず見たいのは最初の3打者です。

初球ストライクが続くのか。

ボール先行の打席が続くのか。

片岸のその日の状態は、登板直後から比較的早く見えてくるかもしれません。

森本|終盤を閉じる役割


森本は、武相戦で2回1/3を無安打無失点。

横浜商大戦でも、最後の2打者を4球で打ち取りました。

投球数はまだ多くありませんが、川和は接戦の終盤を森本に任せています。

大量の三振を奪うというより、ゾーン内で勝負し、守備を使いながら試合を終わらせる投手です。

市ケ尾としては、森本が登板してから一気に逆転を狙うのではなく、森本が出てくる前に同点以上へ持ち込んでおきたいところです。

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3.市ケ尾高校の攻撃


市ケ尾はここまで、

関東六浦に5―3。

相洋に6―5。

横浜氷取沢に8―0。

川崎工科に5―2。

4試合で24得点を挙げています。

合計成績は、

41安打、18四死球、16三振、6犠打、11盗塁。

本塁打はありませんが、安打、四死球、犠打、盗塁を使い分けながら得点してきました。

相手投手に合わせて攻撃方法を変える

市ケ尾は、毎試合同じ攻撃をするチームではありません。

関東六浦戦では9三振を喫しましたが、5四死球と5盗塁を絡めて逆転しました。

相洋戦では、四死球が2つにとどまる中、13安打と4犠打で6点を奪っています。

横浜氷取沢戦では11安打を放ち、三振はゼロ。

川崎工科戦では安打が8本だった一方、9四死球を選びました。

つまり市ケ尾は、

積極的に打つことだけを決めているチームでも、四球を待ち続けるチームでもありません。

ストライクを入れてくる投手には打って出る。

制球が乱れれば四死球を選ぶ。

必要な場面では送り、走れると判断すれば盗塁を仕掛ける。

相手投手の状態に合わせて攻撃方法を変えられることが、市ケ尾の強みです。

森田には、初球の入り方を見ながら対応する


森田が武相戦のように初球ボールから入る場合、市ケ尾は無理に手を出す必要はありません。

一巡目では、森田がどの球でストライクを取りにくるのかを確認しながら、ボール先行になれば四死球まで含めて出塁を狙えます。

一方、横浜商大戦のように初球からストライクを取れている場合、待ち続けるだけでは早く追い込まれます。

大切なのは、早打ちか待球かを試合前から一つに決めることではありません。

初球がボールなら見極める。
甘いストライクが来れば、早いカウントでも振る。

森田のその日の状態を、市ケ尾打線が一巡目でどこまで把握できるかに注目です。

走者を出した後に、もう一人つなげるか


川和は、守備のリズムが悪くなると、投手交代や守備変更によって流れを切ろうとします。

市ケ尾が森田から走者を出しても、次の打者で簡単に攻撃が終われば、川和は落ち着いて片岸へつなげられます。

反対に、四球や安打の後にもう一人が出塁すれば、川和ベンチは継投の判断を迫られます。

市ケ尾としては、森田から1点を取るだけでなく、

川和が流れを切る前に、同じイニングでもう1点へつなげられるか。

そこが重要になります。

片岸がストライク先行なら、待ちすぎない

片岸が横浜商大戦型の投球を見せた場合、四球を待つだけでは攻撃が止まります。

初球からストライクを取られているなら、市ケ尾打線も早い段階で対応を変える必要があります。

市ケ尾は、横浜氷取沢戦で三振ゼロを記録するなど、ストライクを打球にできる打線です。

片岸がゾーン内で勝負してくるなら、追い込まれる前の甘い球を逃さず、強い打球を前へ飛ばせるかがポイントになります。

反対に、武相戦のように初球ボールが増えている場合は、無理に打たず、四死球まで含めて走者をためたいところです。

前の試合の数字だけで攻め方を決めるのではなく、登板直後の数人を見て、その日の片岸を判断することが重要です。

継投直後の最初の打者


川和は、投手交代によって守備のリズムを作り直すチームです。

森田から走者を出していても、片岸の登板直後に簡単にアウトを重ねれば、それまでの攻撃の流れは消えてしまいます。

そのため、注目したいのが継投直後の最初の打者です。

初球から打つのか。

まず球筋を確認するのか。

走者がいれば送るのか。

市ケ尾が投手交代を「攻撃終了の合図」にせず、もう一度攻撃を作り直せるか。

この場面は試合の流れを大きく左右しそうです。

終盤のもう1点


市ケ尾は、一度得点した後に追加点を取る形も見せています。

相洋戦では7回に1点、9回に2点。

川崎工科戦でも6回の3点だけで終わらず、7回に1点を加えました。

川和戦でも、序盤から中盤に得点できたとして、それだけで十分とは限りません。

森本が登板する前にもう1点を加えられるか。

あるいは森本の登板後にも、走者を出して追加点の形を作れるか。

接戦になれば、終盤のもう1点を取る力と、相手のもう1点を防ぐ力が勝敗を分けることになりそうです。

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4.まとめ


川和投手陣は、武相戦ではボール先行に苦しみ、10安打、8四死球で6失点しました。

その次の横浜商大戦では、森田と片岸がストライク系率を上げ、四死球を2つに抑えています。

特に片岸は、

武相戦ではストライク系率60.7%、初球ストライク系率50.0%。

横浜商大戦ではストライク系率75.0%、初球ストライク系率86.7%。

と、大きく数字を変えました。

対戦相手の打撃姿勢も違うため、川和投手陣が武相戦の課題をそのまま修正したと断定することはできません。

それでも結果として、横浜商大戦では初球からストライク系の球を増やし、四死球を減らしていました。

この試合で注目したいのは、

初球ストライクを取れているか。
ボール先行の打席が続いているか。
走者を背負った後も、ゾーン内で勝負できているか。

という部分です。

市ケ尾は、相手投手に合わせて打つ、選ぶ、送る、走るを使い分けられる打線です。

森田がボール先行なら、無理に手を出さず走者をためる。

片岸が横浜商大戦のように初球からストライクを取るなら、早いカウントの甘い球を逃さない。

そして、川和が継投に動いた直後にも攻撃を作り直す。

この試合は、市ケ尾が何安打を打つかだけではありません。

当日の川和投手陣の状態を、市ケ尾がどれだけ早く見抜き、攻撃方法を変えられるか。

森田と片岸が対戦する最初の3打者。

走者を出した後の次の打者。

そして、川和が投手を交代した直後の攻防。

そこに注目すると、両校の事前準備と試合中の修正が、より見えやすくなる一戦です。

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